伊方町観光交流拠点施設
「佐田岬はなはな」
Ikata Town Tourism Exchange Base Facility"Sadamisaki Hanahana"
地域にすでにあるものをつなぐZEB
日本一細長い半島として知られる佐田岬半島の西先端に建つ観光と地域交流の拠点施設である。
敷地は、大分県佐賀関と伊方町三崎を結ぶフェリーターミナルに隣接し、目の前には宇和海の雄大な風景、背後には三崎の山々と集落が広がっている。
しかし、南海トラフ巨大地震の津波対策として2.5mの護岸が築かれ、グランドレベルから宇和海への視界は絶たれた。「自然」と住民の「暮らし」が分断され、
隣接するフェリーターミナルとも集落とも、うまく関係をつなぐことができていないように感じた。
そのような状況でも敷地を読み取り、宇和海の大自然のスケールと集落のスケールが同居する建築となることを目指した。
宇和海の護岸から敷地に向かって、揺らぐことがない堅牢な RC の壁をつくり、護岸のスケールを敷地内に引き込んだ。
さらに 2F の床をRCで持ち上げピロティをつくり、宇和海からの海風が敷地を通り抜けるようにした。コンクリートで形成される
柱と壁に愛媛県産材のスギの3段重ね透かし梁で屋根をかけ、力強さと柔らかさが同居する空間を生み出すと同時に、
既存建物との間に「通り」を生み出した。小さなスケールの建築が連続しながら、佐田岬半島のような細長い一体の建築を形成している。
集落から海に向かって徐々に高くなるボリュームが、集落のスケールと宇和海のスケールをつなぎ、点ではなく線状の経験を生み出す。
その線的な経験の空間にカフェや多目的スペース、売店、ギャラリーが点在し、フェリーからの観光客と集落に住む人々をつなぐ。
集落から護岸に向かって緩やかに地盤面が上昇していくランドスケープにより、護岸の存在感は薄まり、集落と宇和海をシームレスにつなぐことに寄与している。
また、伊方町は東日本大震災以降、新しい地域エネルギービジョンを策定し、再生可能エネルギーの利用拡大を目指している。
太陽光発電、地中熱利用といったすでに敷地に内在する再生可能エネルギーを活用し、愛媛県内初のNearlyZEBの公共施設を実現した。
新しい建築を建てることを通して、そこにすでにある建築、集落、自然、人、素材、エネルギーの関係性を再編集する。
分断するのではなく地域の関係性をつなぎ直す建築となることを目指した。
所在地 | 愛媛県伊方町 / Ikata town , Ehime , Japan |
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用途 | 観光交流拠点施設 |
建築面積 | 1209.61㎡ |
延床面積 | 1200.02㎡ |
工事種別 | 新築 |
協働 | YAP |
施工 | 堀田建設 |
写真 | 長谷川 健太 |
構造 | 満田衛資構造計画研究所 |
設備 | 日本設計 |
サイン | 廣村デザイン事務所 |
外構 | 和想 |
受賞 | 環境・設備デザイン賞2021 優秀賞 / 照明普及賞2021 / 第10回カーボンニュートラル賞 |
complete. 2020.04 |